今回の幼保無償化からの朝鮮幼稚園の除外には様々な口実がつけられているが、実際の理由はそれとは異なっているように感じる。これまで2016年に文科省が地方自治体に朝鮮学校への補助金交付を見直すよう求める「3.29通知」を出したことや、高校無償化から朝鮮高校が除外されている問題など、一連の流れの中で今回の幼保無償化からの排除が行われている。問題の度に色々と後付けで理由がつけているが、結局は政府が差別感情を朝鮮幼稚園に向けているだけだ。到底見過ごせない。
 朝鮮学校では実際に教育や保育が行われている。国際問題や政治を教育や保育の問題に持ち込むことはあってはならない。高校無償化問題が持ち上がった時にも朝鮮の外交問題が理由になっていたが、外交、政治問題と子どもの教育は別問題。国民の差別感情のしわ寄せが子どもたちに向けられてはならない。
 2000年代になってから、日本人の朝鮮半島や在日に対する排外的な感情というのは、理不尽な憎悪に基づいた許しがたいものになっている。国際的にも差別解消が大きなテーマになっている中、日本国内で差別が野放しになっている状況は時代錯誤であり、世界の目指す方向性を乱している。
 本来なら、総理大臣などの社会の指導者がヘイトスピーチなどを止めるよう訴えるべきだが、今は総理や与党議員自身がヘイト発言を行い、あからさまに差別発言を行う有名人と懇意にしている。そして、高校無償化や幼保無償化からの除外など在日朝鮮人に対する差別政策を行う。後押しを公言しているわけではないが、ヘイトデモに来ている人も、そのような政権の姿勢から差別を容認する雰囲気を感じ、力を得ているのは明らかだ。だから幼保無償化からの除外は差別の扇動と言える。
 通常の社会であれば、当事者だけでなく、マジョリティである日本人からもこのような制度は差別だと非難の声が上がって当然だが、今は多くの人がスルーしている。それが問題。政権が朝鮮を排除するようだと感じている人が、それに反対すると損することを感じ「忖度」しているのではないか。
 私も朝鮮学校と直接関係があるわけではないが、自分の住んでいる日本が、特定の民族を排除しているのが恥ずかしいし情けない。
 幼保無償化問題に関しては、日本社会が間違った選択をしているだけで、在日朝鮮人には何の非もない。社会の一員として非常に申し訳ない気持ちだ。「おかしい」と、日本人側からも声を上げていかなければいけないと思う。一緒に状況を変えるために闘っていきたい。

香山リカさん

(精神科医)

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