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坂本洋子さん

(ジャーナリスト)

 在日朝鮮人とのつながりのきっかけは被爆者問題から。99年に初めて訪朝し、日本にいれば被爆者だが、一歩出れば被爆者ではないこと、特に朝鮮は国交がなく被爆者はいるが援護されていないことを知り、その人たちを支援する取り組みから始まった。
 朝鮮学校との接触も同じ頃から。当時、国会議員の秘書をしていたが、岡山初中の修学旅行生を国会見学に受け入れていた。当時はまだそこまで日朝関係が悪くなく、生徒たちがチマ・チョゴリで国会に来ていたことを憶えている。
 幼保無償化から朝鮮幼稚園が除外されているが、人が一番怒るのは差別を受けた時だ。特にその対象を子どもに向けられた時に、親たちは自分が差別された時より怒り、悔しさを感じる。また、子どもたちは大きくなった時に、過去に差別を受けていたことを知る。それは将来、子どもたちが日本の社会の支える世代になった時に、社会で一緒に生きている人間にとっても良くない影響を与えることになる。
 日本には朝鮮への侵略や植民地支配、強制連行など、清算していない過去がある。関東大震災での朝鮮人虐殺や、朝鮮人部落への差別もあった。それらは、日本人の意識の中にこれまでも朝鮮民族への差別があったことを示している。それが拉致問題やミサイル問題など、何か「問題」が起きた時に噴出している。日本政府はそれを止めようともせず、逆に加担している状況がある。
 問題について国同士が話し合う場もないなかで、差別の矛先が子どもたちに向けられているのが現状だ。
 私は、一番弱い立場の人たちが生きやすい社会が誰にとっても生きやすい社会だと思っている。在日朝鮮人のようなマイノリティがいろんな制度から排除され、差別されているのがこの国の姿だ。それについては国連の様々な委員会から繰り返し勧告を受けている。
 経済などいろんな勧告があるが、一番恥ずかしい勧告が人種差別是正の勧告だ。
 この恥ずかしい状況が国際的にどのように捉えられているか、日本の政治家たちはもっと考えなくてはいけない。私は日本人として、申し訳なさや、恥ずかしい思いがある。私だけではなく、心を痛めている日本人は多い。だからこそ在日朝鮮人と共闘してくれる人が日本各地にいる。
 差別を受けているのは在日朝鮮人だが、差別を許しているのは私たち日本人。この問題は私たち日本人が問われている問題だ。

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