先生たちの思い
自尊心持ち現場に立っている

西東京第1初中付属幼稚班・方香織主任
幼い子どもにまで差別の矛先を向けたことは何よりも許しがたい行為であり憤りを感じる。さまざまなルーツをもつ児童が通う外国人学校で、多種多様な教育を施すのは当たり前のこと。多種多様ということを対象外の理由としてあげること自体が間違っている。
また制度の財源が、朝鮮幼稚園の保護者たちも等しく支払っている消費税という点でも到底納得できるものではない。
すべての子どもたちを基本理念にうたうのであれば、日本社会に住む本当にすべての子どもたちが等しくもらえるよう補助の仕組みを設けるべきだ。昨年、幼稚園関係者や保護者たちからの要請を受け、国立市から保護者補助金が支給されることになったが、(市役所での)面談時、国立市長は「網目から漏れるすべての子どもたちのために」と話していた。すべての市民が共に生きようという市の方針にそった措置であり、金額を問わず差別しなかったという点で安心している。
朝鮮幼稚園の教員たちは、民族教育に対する自尊心を持って日々保育の現場にたっている。民族教育権獲得のために第一線で声をあげていきたい。
健全に育つ要因が地域同胞社会に

東京第6初級付属幼稚班・尚明淑主任
教育というのは環境がすごく大事だ。子どもたちは難しいことはわからなくても、祖父母や両親が学校をとても大事にしていることは、自分たちの肌で感じている。
子どもたちの成長を見て親御さんをはじめ地域の皆が喜んでくれる。これが、ウリユチバンで健全に子どもたちが育っている要因のひとつだと思う。
同じ社会に住む者として、朝鮮幼稚園に通う子どもたちが立派に育っている現実から目を背けないでほしい。
朝鮮幼稚園の教諭として

京都第2初級付属幼稚班・黄恵淑教員
ただ朝鮮人として民族教育を受けるために朝鮮幼稚園に通う子どもたちが、差別を受けることはあってはならない。
保育者として朝鮮幼稚園の教諭として、子どもたちが何不自由なく学べるよう闘っていきたい。

鶴見朝鮮幼稚園・徐怜愛教員
見据える子どもたちの将来
何よりも、私たち教員は、子どもたちがこの先、幼児期を経て社会人として成長するにあたって、いわば根っこを育てていると考えている。日々の保育を計画するうえでも、子どもたちのその後の将来も見据え、幼児期の今、どのような経験ができるのだろうか、常に考えて研究や実践を重ねている。
この日本社会において生まれながら差別に苛まれる子どもたちをつくり出してしまうという危機感を強く感じている。これ自体が国際条約である『児童の権利に関する条約』における基本精神『児童の最善の利益』に違反する行為ではないか。
問題の本質を考えて

埼玉初中付属幼稚班・朴洋子主任
朝鮮幼稚園が、日本の幼稚園と唯一異なることといえば、幼いころから朝鮮の言葉や踊り、歌に親しみ、朝鮮人としてのアイデンティティを築きながら、何よりも自己肯定感の強い子どもに育てていくこと。たったそれだけなのに、朝鮮幼稚園を対象外にするのは差別ではないのか。
差別というのは差別する側が自覚しなくては何も変わらない。
この問題の本質がどこにあるのかをしっかりと考えてほしい。