現在、日本各地には41の朝鮮幼稚園があります。ウリユチバンとは、私たちの(ウリ)幼稚園(ユチバン)という意味で、親しみを込めて朝鮮幼稚園を呼ぶときの呼称です。園児たちはここで朝鮮語や朝鮮の文化に触れながら幼児期を送っています。このページでは、朝鮮幼稚園がどのような場所か、先生のインタビューや施設紹介、幼保無償化制度に対する先生たちの思いを紹介します。

朝鮮幼稚園ってどんなところ?

 日本各地で運営されている朝鮮幼稚園は、各種学校の中での幼児教育事業として行われていますが、運営や教育内容、教育方法などで「幼稚園」と区別するのが難しいほど類似した施設です。日本の幼稚園や保育園とは違う朝鮮幼稚園の特徴を一言で表すなら、ウリマル(朝鮮語)や朝鮮の歌、踊りなどを通じて幼いころから民族的な感性を育て、「ウリ(私たちのもの)」を愛する心を育む場だということです。
 朝鮮幼稚園の教育・保育目標を別項に掲げました。「自己肯定感」というのが重要なキーワードです。ありのままの自分を肯定する感情は人間としての自らを形作る基礎になります。在日朝鮮人の子どもたちにとってなぜ朝鮮幼稚園が必要なのか―。その問いに対する重要な答えの一つがここにあります。

 朝鮮幼稚園のカリキュラム(教育課程)は、子どもたちの心身の発達と幼稚園および地域社会の実態に即したものになっています。教育・保育内容については、日本の幼稚園教育要領・保育所保育指針に示された「ねらい」や領域も意識されており、一般的な幼児教育・保育におけるニーズも満たしています。
 上で掲げた教育目標は、幼稚園ごとに細かな表現の違いはありますが、それぞれの園の独自性を生かしながらも、全国の幼稚園教員による研究会などでの研究成果も取り入れた共通のものとなっています。埼玉幼稚園の満3歳児クラスを例に挙げると、集団生活の中で友だちと一緒に過ごす楽しさを味わう/さまざまな体験や経験を通じて自分の身の回りに興味を持つ/自分の気持ちを言葉で表し、ものの名前や動物名、あいさつなどをウリマルで話す/衣類の着脱や食事、排せつなど生活で必要な事柄を自分でこなすようにする、などの目標を掲げています。それをさらに学期、月、週、日ごとに細分化し、必要な教育内容を組み合わせた計画を作成しています。

 朝鮮幼稚園の魅力は、地域全体で子どもたちを育てていることです。今の日本ではこれがなかなかむずかしい。朝鮮幼稚園だと、先生はもちろん、保護者、学校の上級生、地域同胞にいたるまで園児一人に行き届く目がたくさんあります。園児たちは「親、先生、友達」だけの関係で幼児期を送るのではなく、多様な人間関係を築きながら成長していきます。その中で自然に朝鮮人であることを認識し、朝鮮人としての自己を肯定しながら成長していく、その土台が朝鮮幼稚園時代に築かれているということです。

朝鮮幼稚園の教育・保育目標

ウリマル(朝鮮語)や歌、踊りを通して朝鮮人としての自覚や自己肯定感を育てる

集団生活の中で協調性と自主性を育てる

健康で安全な生活を送れるよう、基本的な習慣を身につける

多様な経験を通して豊かな感性と創造力を養う

もっと知りたい!

園の中ではすべてウリマル

原則的に、園での生活、すべての教育課程が朝鮮語で行われるのが、ほかにはない朝鮮幼稚園の特徴です。子どもたちは「お勉強」としてではなく、生活の中で朝鮮語を学びます。園児たちは数ヵ月もすると先生の言葉が理解できるようになり、園での基本的な生活を朝鮮語で送れるようになります。そして、音楽や衣装、風習など民族的なものを身近に感じる活動を通じて、民族的な情緒も育んでいきます。

あんなことやこんなことも体験!

日本の幼稚園と同様、朝鮮幼稚園における教育方法も、基本は「さまざまな体験や遊びの中で学ぶ」ことです。日本各地の朝鮮幼稚園では、それぞれの実情に合わせて、リトミックや英語教室、サッカー・水泳・テコンドーなどのスポーツ、絵本の読み聞かせ、食育活動など多様な体験ができるようになっています。

共働き家庭を応援! 保育の受け皿にも

各幼稚園や地域の実態に即した運営形態が採用されているのも朝鮮幼稚園の特徴の一つです。多くの朝鮮幼稚園が共働き家庭のニーズに対応し、延長保育や夏休み・冬休み・春休み期間中の特別保育を実施するなど地域同胞社会での実質的な保育の受け皿として機能しています。

先生たちは朝大保育科卒

 日々、子どもたちと接する朝鮮幼稚園の先生たちはほとんどが朝鮮大学校教育学部保育科の卒業生です。2000年代に入って保育科では保育士資格取得のためのカリキュラムを導入し、在学生の資格取得対策にも取り組んでいます。近年、保育士資格を持つ先生たちが数多く現場に進出するなど、教育・保育の質に対する信頼を高めています。

朝鮮幼稚班の歴史

 1950年に愛知朝鮮第1初級学校に設置されたのがはじまりで、50年代には鶴見(横浜)、山口、愛知第8、西神戸に作られました。貧しい生活の中で働きにでる各家庭の預け先として朝鮮初級学校に付属する形で各地に設置。幼児期から民族の文化を授けたいという同胞社会のニーズも背景にありました。
 60年代には愛知、兵庫、大阪などから増えはじめ、60年代後半から70年代にかけては関東、東海(愛知以外)に設置、70年代には60ヵ所を超える勢いを見せます。78年には朝鮮大学校師範教育学部に幼稚園教員を養成する「教養員科」が設けられ、教員育成システムが整えられました。近年は朝大で日本の保育士資格を取得する学生も増えています。

月刊イオ2019年12月号より引用

施設紹介

 
 
①創立年 ②保育期間 ③延長保育の有無 ④園児の受け入れ年令 ⑤送迎バスの有無 体験保育の有無 ⑦所在地 ⑧特徴的な取り組み
別冊・月刊イオ 『外国人学校幼稚園にも「幼保無償化」を!』より引用

© 幼保無償化を求める朝鮮幼稚園保護者連絡会

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